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不動産写真の撮り方完全ガイド|撮影準備・撮り方・画像加工の基本

物件写真を撮るとき、「できるだけきれいに見せたい」と考える方は多いでしょう。とはいえ、不動産写真は、単に見栄えのよい写真を用意すればよいわけではありません。


不動産写真には、大きく分けて二つの役割があります。

一つは、物件を探している人の意思決定を助けることです。
借主や購入希望者は、写真を見ながら、部屋の広さや間取り、日当たり、収納、水回り、設備、生活動線などを確認します。写真がわかりやすければ、「この物件は自分に合いそうか」「問い合わせる価値があるか」「内見してみたいか」を判断しやすくなります。

もう一つは、掲載情報への信頼感をつくることです。
明るく清潔で整った写真は、物件がきちんと管理されている印象につながります。一方で、暗かったり、傾いていたり、部屋の一部しか見えなかったりする写真は、物件そのものに問題がなくても、掲載情報への不安を感じさせてしまうことがあります。

大切なのは、物件の魅力を伝えながら、物件を探している人が安心して判断できる情報を届けることです。

そのためには、撮影から掲載までのそれぞれの段階で、過度に演出するのではなく、正確で見やすく、信頼できる写真を意識することが欠かせません。

この記事では、物件の魅力と正確な情報の両方を伝えるために、撮影前の準備から実際の撮影、掲載前の画像加工まで、段階ごとにわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 不動産写真で重視されるポイント
  • 物件タイプ別に写真で伝えるべきこと
  • 写真の印象を左右する撮影前の準備
  • 不動産写真撮影の基本原則
  • 部屋別の撮影ポイント
  • 写真加工でできること・避けたいこと
  • AI・バーチャルステージングの活用
  • 撮影前・加工前・掲載前のチェックリスト

撮影前に、まず考えておきたいこと

撮影を始める前に、まず考えておきたいのが「この写真で何を伝えるか」です。
物件を探している人がどこを見て、何を知りたいのかを意識すると、必要な写真や撮り方も見えやすくなります。

不動産写真で重視されるポイント

不動産写真で見られているのは、見栄えだけではありません。水回りの清潔感や収納の使いやすさなど、実際の暮らしに関わる情報も、物件選びの大切な判断材料になります。

項目

見られるポイント

清潔感

水回り・床・窓・鏡の状態、整理整頓

明るさ・日当たり

自然光の入り方、室内の見やすさ

収納

容量・使いやすさ・配置

キッチン・水回り

清潔さ、設備、作業スペース

空間の使い方

家具配置のしやすさ、動線

管理状態

傷み・劣化・メンテナンス状況

生活イメージ

実際の暮らしを想像できるか

こうした情報が写真からバランスよく伝わると、物件同士を比較しやすくなり、問い合わせや内見にも進みやすくなります。

物件タイプ別:写真で伝えるべきこと

ただし、撮影の基本は同じでも、どの写真を優先するかは物件によって変わります。低価格帯の賃貸とファミリー向け物件、高級物件では、物件を探している人が知りたいことも異なるためです。

物件タイプ

写真で重視すること

撮影・編集のポイント

低価格帯賃貸

状態・広さ・水回りを早く正確に伝える

高度な演出よりも、明るさ、水平・垂直、片付け、最低限の清潔感を整える

ミドル層・1LDK/2LDK

他物件と比較したときの印象や暮らしやすさを伝える

リビングの広さ、家具配置、収納、水回り、キッチンとのつながりを見せる

ファミリー向け

生活動線・収納・水回り・部屋数の使い方を伝える

リビング、キッチン、浴室、洗面、収納、バルコニーなどをつなげて見せる

高級物件

物件の質感・眺望・空間体験・ブランド感を伝える

プロ撮影、丁寧な補正、統一感のある写真、必要に応じたバーチャルステージングを活用する

中古住宅・既存住宅

魅力と現状を誠実に伝える

日当たりや間取りの良さを見せつつ、傷み・劣化・水漏れ跡など状態に関わる情報は隠さない

たとえば、低価格帯の賃貸では、まず室内の状態や設備が正確に伝わることが大切です。一方、ファミリー向け物件では、リビングとキッチンのつながりや収納の位置など、実際の生活動線がわかる写真が役立ちます。
物件の価格帯やターゲットに合わせて、「何を最初に見せるか」を考えてみましょう。

写真の印象を左右する撮影前の準備

写真で伝えたいことが決まったら、次は室内を整えていきましょう。

床に置かれた荷物や水回りの汚れ、鏡への写り込みなどは、後から画像加工で直すより、撮影前に整えておくほうが自然で手間もかかりません。

撮影前には、次のポイントを押さえておきます。

  • 不要な物や生活感の強い私物を片付ける
  • キッチン・浴室・トイレ・窓などを中心に清掃する
  • カーテンやブラインドを調整し、自然光を活かす
  • 照明のON/OFFを確認し、自然な明るさを選ぶ
  • 個人情報が写らない状態にする
  • 物件タイプやターゲット、写真の目的を共有する

写真の質は撮る前に決まるといっても過言ではありません。撮影前に環境を整えておくことで、写真の見やすさと信頼感が大きく変わります。


撮影時に意識したい基本ポイント

撮影前の準備が整ったら、次は実際の撮影です。撮影では、明るくきれいに写すことに加えて、部屋の広さやつながりが無理なく伝わることを意識します。

難しい機材や特別な技術がなくても、明るさやカメラの高さ、水平・垂直を意識するだけで、写真はぐっと見やすくなります。レンズの選び方や構図、露出設定についてさらに詳しく知りたい方は、不動産カメラマン向け:レンズ・構図・露出の基礎ガイドもあわせてご覧ください。

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不動産写真撮影の基本原則

まずは物件タイプや部屋に関係なく押さえておきたい、不動産写真の基本原則を整理します。

自然で見やすい明るさに整える

明るさは、物件写真の印象を大きく左右します。暗い写真は、部屋を実際より狭く見せたり、古く管理されていないような印象を与えたりすることがあります。一方で、明るくしすぎると、白飛びや不自然な色味につながります。

大切なのは、実際の印象から大きく外れない、自然で見やすい明るさに整えることです。

垂直・水平を整える

壁、ドア、窓、収納、床、天井などの線が傾いていると、写真全体が不安定に見えます。見る人は理由をはっきり説明できなくても、「なんとなく見づらい」「丁寧に撮られていない」と感じることがあります。

撮影時はカメラを水平に保ち、必要に応じて編集時にパース補正を行います。ただし、大きく補正しすぎると不自然になるため、撮影時点でできるだけ整えておくことが重要です。

自然なカメラの高さで撮る

カメラ位置が高すぎると床が大きく写りすぎ、低すぎると家具や設備が圧迫感を与えることがあります。室内写真では、胸の高さ前後、またはやや低めの位置から撮ると自然に見えやすくなります。

目的は、部屋を実際以上に広く見せることではありません。実際に室内に立ったときに近い感覚で、空間をイメージできる写真を目指しましょう。

広角レンズは使いすぎない

不動産写真では、部屋全体を見せるために広角レンズがよく使われます。特に日本のコンパクトな住宅では有効です。

ただし、広角を使いすぎると、写真の端が伸びたり、家具が歪んだり、実際よりも極端に広く見えたりします。広角レンズは、空間を誇張するためではなく、部屋の構造をわかりやすく伝えるために使います。

空間のつながりを見せる

良い不動産写真は、部屋単体の広さだけでなく、空間同士のつながりも伝えます。たとえば、リビングとキッチン、寝室と収納、洗面所と浴室、玄関から室内への動線などです。

部屋の隅から撮る、窓やドアを含める、隣接する部屋との関係を見せるなど、物件を探している人が暮らしを想像しやすい構図を意識します。

使いやすさが伝わる写真にする

物件写真では、見た目の良さだけでなく、日常でどう使えるかが伝わることも重要です。収納の場所と容量、キッチンの作業スペース、洗濯機置き場、玄関収納、バルコニー、コンセント位置、在宅ワークスペースの可能性などは、暮らしやすさを判断する材料になります。

美しい写真でも、収納や設備、生活動線がわからなければ、物件を探している人の判断材料としては不十分です。

部屋別の撮影ポイント

撮影の基本は同じでも、リビングと浴室では、写真で伝えたいことが異なります。
リビングなら広さや家具の配置、キッチンなら作業スペースや収納、浴室なら清潔感や設備など、部屋ごとに見る人が知りたいポイントを意識しましょう。

空間

写真で伝えるべきポイント

注意したいこと

リビング

広さ、明るさ、家具配置、LDKのつながり、バルコニーとの関係

空室では生活イメージが湧きにくいため、バーチャルステージングが有効な場合があります。家具のサイズ感や動線は現実的に見せます。

キッチン

清潔感、作業スペース、収納、シンク・コンロ、設備、家事動線

過度な演出よりも、明るさ・色味・設備の見やすさが重要です。古い設備を実際以上に新しく見せる加工は避けます。

寝室

ベッド配置、収納、窓の位置、落ち着き、プライバシー

空室の場合は、ベッドやデスクの配置例を見せることで使い方が伝わりやすくなります。

浴室

清潔感、浴槽、鏡、水栓、換気、浴室乾燥機などの設備

カビ、水垢、傷みなど状態に関わる情報を不自然に消さないようにします。

トイレ

清潔感、設備、換気、収納、圧迫感の少なさ

狭い空間ほど、明るさと水平・垂直を丁寧に整えます。

玄関

第一印象、玄関収納、ドア、防犯設備、室内へのつながり

靴や傘、撮影者の写り込み、個人情報に注意します。

バルコニー

日当たり、眺望、奥行き、物干しスペース、室外機、床の状態

眺望や開放感を過度に加工せず、実際の見え方に近い写真にします。

収納

幅、高さ、奥行き、棚やハンガーパイプ、内部構造

扉の外観だけでなく、使いやすさがわかる写真を入れると判断しやすくなります。

外観

建物の印象、管理状態、入口、駐車場、周辺との関係

外壁の傷みやサビなど、状態に関わる情報を隠さないようにします。

共用部

エントランス、オートロック、宅配ボックス、廊下、駐輪場、ゴミ置き場

撮影許可、居住者の写り込み、車のナンバーなどに注意します。

中古住宅・既存住宅

魅力、使える部分、管理状態、リフォーム余地

きれいに見せるだけでなく、物件を探している人が現状を判断できる写真にすることが大切です。

特にリビングや寝室は、家具の配置や暮らしのイメージが、問い合わせや内見の判断につながりやすい空間です。空室の場合は、バーチャルステージングを使うことで、ソファやベッド、デスクなどの配置イメージを伝えやすくなります。一方で、キッチン、浴室、玄関、バルコニー、外観などは、家具を追加して演出するよりも、明るさ、清潔感、実際の設備や状態が正しく伝わるようにすることが大切です。

撮影した写真は、どの写真を1枚目にするか、どのような順番で掲載するかによっても伝わり方が変わります。SUUMOに登録する写真の枚数やカテゴリ、掲載順については、SUUMOで反響を増やす賃貸物件の入稿完全ガイドで詳しく解説しています。


掲載前に写真を整えるポイント

撮影が終わったら、掲載前に写真を整えます。レタッチや画像補正を上手に使えば、写真を見やすくし、物件の情報をより伝わりやすくできます。

ただし、不動産写真では「きれいに加工すること」と「正確に伝えること」のバランスが重要です。実物とのギャップが大きくなると、内見時の違和感や掲載情報への不信感につながることもあります。

写真加工でできること・避けたいこと

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不動産写真のレタッチは、暗さや傾き、色味、不要物などを整えるのに役立ちます。大切なのは、物件を実際以上によく見せることではなく、物件を探している人が写真から情報を読み取りやすくすることです。

できること

避けたいこと

暗い写真を自然に明るくする

実際より極端に明るく見せる

色被りや不自然な色味を整える

壁や浴室を不自然に白くする

垂直・水平や傾きを補正する

部屋を実際より広く見せすぎる

一時的な不要物を消す

傷み・劣化・水漏れ跡などを隠す

個人情報や撮影機材の写り込みを消す

古い設備を新品のように見せる

家具や生活感を整理して見やすくする

現況と違う印象になる加工をする

たとえば、ゴミ箱、洗剤、洗濯物、撮影機材の写り込み、個人情報が写った書類などは、写真の見やすさやプライバシー保護のために消してよい場合があります。一方で、カビ、水漏れ跡、壁や床の大きな傷み、サビ、ひび、設備の故障や劣化などは、物件状態に関わる重要な情報です。

加工してよいか迷ったときは、見る人に誤解を与えないかを基準に考えてみましょう。
写真を目立たせることだけでなく、掲載情報を安心して見てもらえることも、不動産写真の大切な役割です。

AI・バーチャルステージングの活用

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空室写真だけでは、家具のサイズ感や部屋の使い方が伝わりにくいことがあります。バーチャルステージングで家具の配置例を加えると、物件を探している人も、そこでの暮らしをイメージしやすくなります。

また、家具消しや画像補正を活用すれば、居住中の物件や片付けが難しい部屋の写真も、より見やすく整えられます。ただし、加工した画像には「家具配置イメージ」などの表記を入れ、現況写真と区別できるようにしましょう。

物件の現地で、魅力が伝わる写真に。
VirtualStaging.artのモバイルアプリを使えば、現地で撮影した写真を使って、元の部屋の構造を変えずに、家具の配置や家具消し、画像補正をその場ですぐに行えます。
詳しく見る →

ホームステージングの種類や費用については、ホームステージングの基本ガイドをご覧ください。バーチャルステージングの詳しい活用方法は、不動産のバーチャルステージングとは? 物件写真の不要物除去とHDR補正:AIで掲載写真を整える実務ワークフロー で紹介しています。


いかがでしたでしょうか。ここまで、撮影前の準備、撮影時に意識したいポイント、掲載前の画像加工について見てきました。

すべてを一度に完璧にする必要はありません。まずは、室内を整える、明るさや傾きを確認する、実際の物件と大きく異なる加工を避けるといった基本から始めるだけでも、写真の印象は大きく変わります。

最後に、撮影前・加工前・掲載前の3つの段階に分けて、確認しておきたいポイントをチェックリストにまとめます。

撮影前チェックリスト

加工前チェックリスト

掲載前チェックリスト

安心して選べる物件写真を目指して

不動産写真で目指したいのは、実際以上に完璧な空間に見せることではありません。

物件の魅力をきちんと伝えながら、広さや設備、使いやすさ、現在の状態といった、物件を選ぶために必要な情報をわかりやすく届けることが大切です。

撮影前に室内を整え、撮影時には明るさや構図を意識し、掲載前には誤解を招く加工がないかを確認する。こうした一つひとつの積み重ねが、写真の見やすさだけでなく、掲載情報への信頼感にもつながります。

物件を探している人が写真を見たときに、「ここなら暮らしをイメージできそう」「一度、実際に見てみたい」と安心して次の行動に進めること。それが、不動産写真の大切な役割です。

よくある質問

不動産写真はスマートフォンでも撮影できますか?

スマートフォンでも撮影できます。レンズの汚れを拭き、グリッドを表示して水平・垂直を確認し、十分な明るさを確保するだけでも、写真は見やすくなります。ただし、超広角モードを使いすぎると部屋が歪んだり、実際より広く見えたりするため注意が必要です。

不動産写真はどの高さから撮るとよいですか?

室内写真は、胸の高さ前後、またはやや低めの位置から撮ると自然に見えやすくなります。カメラが高すぎると床の割合が大きくなり、低すぎると家具や設備が圧迫感を与えることがあります。実際に室内に立ったときに近い感覚で見える高さを意識しましょう。

不動産写真では広角レンズを使ったほうがよいですか?

コンパクトな室内を一枚に収めるには、広角レンズが役立ちます。ただし、広角を使いすぎると写真の端が伸び、家具や部屋の形が不自然に見えることがあります。部屋を広く見せるためではなく、間取りや空間のつながりを伝えるために使うことが大切です。レンズの選び方や構図、露出については、不動産写真のレンズ・構図・露出の基礎ガイドで詳しく解説しています。

不動産写真はどこまで加工してもよいですか?

明るさや色味を自然に整える、傾きを補正する、一時的な不要物や個人情報の写り込みを消すといった加工は、写真を見やすくするために役立ちます。一方で、部屋を実際より広く見せる、古い設備を新品のように変える、傷みや劣化を隠すなど、現況と異なる印象を与える加工は避けましょう。

居住中の物件では、家具や生活用品を写真から消してもよいですか?

ゴミ箱や洗剤、洗濯物、私物などを整理したり、画像から取り除いたりすることで、部屋を見やすくできる場合があります。ただし、備え付けの設備や収納、物件の状態を判断するために必要な情報まで消さないようにしましょう。加工後の画像が現況と大きく異ならないことが大切です。

AI加工した不動産写真を掲載するときの注意点はありますか?

実際の物件写真と誤解されないように、「家具配置イメージ」「AIによる加工画像」などの表記を入れ、現況写真と区別できるようにするのがおすすめです。掲載媒体によって画像加工に関するルールが異なる場合もあるため、公開前に各媒体の規定も確認しましょう。表示方法や広告掲載時の注意点については、AIホームステージングと不動産広告規約:安心して活用するためのガイドで詳しく解説しています。

不動産写真の撮り方完全ガイド|撮影前準備・撮影・画像加工の基本とチェックリスト